MicroStrategy ONE

システム サイジングのガイドライン

下記のトピックでは、初めて MicroStrategy をセットアップするときに考慮すべきサイジングの指針について説明します。定期的にシステムを再評価し、実際のシステム パフォーマンスおよび使用状況に基づいてシステムを更新する必要があります。

この項では、最も基本的なガイドラインのみ説明します。詳しい情報については、System Administration Help

ユーザ数

ユーザー数は以下の方法で測定できます。

  • 合計ユーザー数: システムに登録されているユーザー。たとえば、ある企業のウェブ サイトを参照できる人数が 950 人の場合、そのサイトの合計ユーザーは 950 人です。
  • アクティブ ユーザー: システムにログインしているユーザー。たとえば、あるサイトが 950 人の合計ユーザーによる参照が可能で、そのうちの 30 人がサイトにログインしている場合、そのサイトのアクティブ ユーザーは 30 人です。
  • 同時ユーザー: サーバー (MicroStrategy Web、Intelligence Server など) によって同時にジョブが処理されているユーザー。たとえば、950 人の合計ユーザーが使用できるウェブ サイトがあり、このサイトに 30 人がログインしているとします。これらの 30 人のアクティブ ユーザーのうち、10 人のジョブがサーバーで同時に処理されている場合、並行ユーザーは 10 人です。

これらのユーザー数の測定のうち、同時ユーザーの人数を考慮することが重要です。使用するシステムでは、予想される同時ユーザーの最大数を常にサポートする必要があります。

レポートの複雑さ

レポートが複雑になるほど、Intelligence Server のリソースがより多く必要になります。ここで、「複雑」なレポートとは多くの分析処理を必要とするレポートです。長く複雑な SQL を使用するレポートは本質的に複雑ですが、実行するのに必ずしも追加の Intelligence Server リソースを必要とするわけではありません。Intelligence Server の負荷を高めるのは、レポート内の分析処理です。

分析が複雑なレポートは単純なレポートよりも Intelligence Server に大きな負荷がかかるので、使用するシステムでの平均的なレポートの複雑さを理解している必要があります。このことを理解しておくと、キャッシュ戦略を決定するのに役立ちます。たとえば、複雑なレポートを事前にキャッシュすることを決めて、Intelligence Server に必要となる処理能力を判断できます。

Intelligence Server が生成する SQL はデータベース サーバーで処理されるので、非常に複雑な SQL を使用するレポートはデータベース サーバーの負荷を高める場合があります。データベース サーバー コンピューターのサイジングを行う場合、この点を考慮する必要があります。

アドホックレポートとキャッシュ

レポート キャッシュは、前に実行したレポートの結果を格納します。クライアント (MicroStrategy Web、Developer など) がキャッシュされているレポートを要求した場合、MicroStrategy Intelligence Server は、キャッシュされているレポート結果をクライアントに返します。キャッシュされていないアドホック レポートの場合、MicroStrategy Intelligence Server はレポートの実行サイクル全体を処理してからでないと結果を返すことができません。このように、レポートのキャッシュ処理によって、Intelligence Server への負荷を最小にしながら応答時間を短くすることができます。

キャッシュは、単純なレポートよりも複雑なレポートで使用するとより効果的です。複雑なレポートをキャッシュすると実行時間が大幅に改善されることがありますが、単純なレポートのキャッシュではこの点に関して大きな違いは見られない可能性があります。

したがって、システム内のアドホック レポートが複雑になるほど、Intelligence Server への全体的な負荷は大きくなります。MicroStrategy Intelligence Server コンピューターのサイジングを行う場合は、この点を考慮してください。

エレメント ブラウジングの処理も、アドホック レポートと同様です。エレメント ブラウズは、アトリビュート エレメントの階層をナビゲートする際に発生します。たとえば、[年] アトリビュートの月のリストを表示する場合です。デフォルトでは、キャッシュはエレメント ブラウジングに対して有効になります。また、一度に取得されるエレメント数は制限できます。

Report Services ドキュメント

Report Services ドキュメントは、MicroStrategy オブジェクトを利用して、複雑で高度なレポートを実行します。ドキュメントで使用可能なデータセットによって、その内容が決まります。各データセットは、レポートおよびそのコンポーネント オブジェクト(アトリビュート、メトリック、カスタム グループ、コンソリデーションなど)を表します。あるデータセットがドキュメントで使用可能な場合、そのデータセットのレポート全体または任意のコンポーネント オブジェクトをドキュメント出力に含めることができます。

ドキュメントを作成する場合、次のガイドラインを参照して、Intelligence Server の実行時間および全体的な CPU 使用率を増加させないようにしてください。

  • データセットは、数を少なくし、サイズを大きくする必要があります。
  • 出力ドキュメント内のグリッド数を少なくする必要があります。可能な限り、出力ドキュメント内で少ないグリッドに収まるように、データを統合します。
  • 複雑なエレメント(コンソリデーション、カスタム グループ、スマート メトリックなど)の使用によって、Intelligence Server の使用率が増加する場合があります。特に、エレメント定義で算術演算子が使用されている場合です。
  • 必要な場合にのみ、カスタム書式設定を使用します。

OLAP Services

OLAP サービスは、レポートをインテリジェント キューブとして Intelligence Server の物理メモリに保存します。これらのインテリジェント キューブがメモリ内にキャッシュされると、インテリジェント キューブ内での派生メトリックおよび派生エレメントの追加、書式設定、ドリルなどのレポート操作の時間が大幅に短縮されます。これは、データベースに対して新しい SQL が実行されないためです。

キューブは Intelligence Server のメモリ内に保存されるため、OLAP Services の高度なレポート操作機能には Intelligence Server のリソースが必要となります。インテリジェント キューブのサイズは、次の要因を考慮して決定します。

  • Intelligence Server のリソース
  • 予期される応答時間
  • ユーザーの並行度

OLAP Services はプラットフォームのパフォーマンス(特にメモリおよびレポート応答時間)に影響を及ぼす可能性があるため、Intelligence Server の CPU 使用率およびメモリ使用状況を注意して監視する必要があります。OLAPサービスの詳細については、In-memory Analytics Help。OLAPサービスのパフォーマンスチューニングのベストプラクティスについては、System Administration Help

その他の考慮事項

数多くの要因がシステム パフォーマンスに影響する可能性があります。それらのほとんどはシステムに固有であるため、予測は困難です。システムの要件を決定するときに考慮する必要がある項目を以下に示します。

  • MicroStrategy Developer と MicroStrategy Web の使用 - MicroStrategy 製品は、大多数のユーザーが MicroStrategy Web からシステムにアクセスし、少数のユーザーが Developer 製品を使用することを想定して設計されています。
  • 統計ログ - 統計ログは、実際の使用状況に基づいてシステム構成を分析し、さらに調整するのに非常に役立ちます。ただし、すべての統計を常にログすると、システムの応答時間が著しく増加する可能性があります。このため、生成される統計の一部のみをログするか、統計を定期的にのみログするかを選択することが必要な場合があります。
  • バックアップ頻度 - キャッシュはメモリとディスクに保存できます。バックアップを有効にすると、Intelligence Server はすべてのキャッシュ ファイルをディスクに書き込むことができます。バックアップ頻度がデフォルトの 0 に設定されている場合、バックアップ ファイルは作成されるとすぐにディスクに書き込まれます。ただし、すべてのキャッシュ ファイルを常にディスクに書き込むと、システム パフォーマンスが著しく低下する可能性があります。

    ディスクへの書き込みが最少になる値にバックアップ頻度を設定し、システムのメモリ使用を最適化します。

  • MicroStrategy Web サーバーと Intelligence Server の比率 - 通常のシステムでは、Intelligence Servers と Web サーバーの比率は 1:1 です。これにより、両方のリソースが最適化されます。ただし、特別な要件によっては、Intelligence Server または MicroStrategy Web サーバーを追加した方が有効な場合があります。
  • レポートスタイル - MicroStrategy Webでは、さまざまな XSL レポート スタイル。これらのスタイルを使用して、レポートの表示形式を簡単にカスタマイズできます。これらのスタイルはそれぞれ複雑さが異なるため、一部のスタイルでは他のスタイルよりも多くの処理が必要になる場合があります。

高いパフォーマンスを実現する MicroStrategy プロフェッショナル サービス

MicroStrategy Professional Services では、パフォーマンスを大幅に向上するためにお客様が利用できる、以下の 5 つの主要な手段を特定しています。

  • インメモリ型ビジネス インテリジェンスを使用する
  • 高パフォーマンスのドシエをデザインする
  • クエリの効率を最適化する
  • 効果的なキャッシュ方策を実施する
  • 高パフォーマンスが得られるように MicroStrategy を構成する

わずか 1 週間で、MicroStrategy Professional Services は、ビジネス インテリジェンスの実装を徹底的に調べ、これらの 5 つの主要領域について、全体的なパフォーマンスを向上するための実施可能な推奨事項を提供します。MicroStrategy パフォーマンス分析サービスでは、以下のサービスを提供します。

  • パフォーマンス最適化ロードマップ : パフォーマンス目標を達成するための優先順位付けされた推奨事項を含むカスタマイズされたレポート。
  • システム構成 : さまざまな MicroStrategy 製品間でリソースを効率的に使用するための最適な構成設定の推奨事項。
  • パフォーマンス監視計画 : パフォーマンスの機会を積極的に監視および特定するためのパフォーマンス関連メトリックのセット。

MicroStrategyプロフェッショナルサービスがパフォーマンス分析を使用してパフォーマンス機会を評価し、優先順位を付ける方法については、以下を参照してください。 MicroStrategy サービス

サイジングに関する一般的な質問

以下の項では、サイジングに関する一般的な質問について簡単に解説しています。MicroStrategy環境のチューニングの詳細については、最高のパフォーマンスを得るためのシステムのチューニング章のSystem Administration Help。以下の項には、その他の追加情報も提供されています。

Intelligence Server のプロセッサ速度を上げる必要があるのはなぜですか?

Intelligence Server のプロセッサ速度を上げると、パフォーマンスが向上し、すべての分析タスクの実行時間および拡張マークアップ言語(XML: Extensible Markup Language)およびコンポーネント オブジェクト モデル(COM: Component Object Model)アプリケーション プログラミング インタフェース(API: Application Programming Interface)からの要求の実行時間が短縮されます。たとえば、コンピューターが常に 80% を超える高いキャパシティで稼動している場合は、さらに高速なプロセッサーを搭載すればシステムのキャパシティが改善されると考えることができます。

MicroStrategy環境のプロセッサのチューニングの詳細については、セクションを参照してください。システムリソースの管理System Administration Help

Intelligence Server にプロセッサーを追加する必要があるのはなぜですか。

Intelligence Server にプロセッサーを追加すると、プロセッサー間の負荷分散が向上します。これにより、パフォーマンスが全体的に向上します。たとえば、プロセッサーが常に 80% を超える高いキャパシティで稼動していることに気付いた場合は、プロセッサーの数を増やすことを検討してください。

MicroStrategy環境のプロセッサのチューニングの詳細については、セクションを参照してください。システムリソースの管理System Administration Help

Intelligence Server をホストするコンピューターでメモリを増設する必要があるのはなぜですか。

Intelligence Server をホストするコンピューターで物理ディスクの利用率が高すぎる場合は、システムのパフォーマンスにボトルネックが発生している可能性があります。Windowsマシンでこれを監視するには、オブジェクトのWindowsパフォーマンスモニターを使用します。物理ディスクそしてカウンター% ディスク時間。このカウンタが平均で 80% を超えている場合、コンピューターのメモリが十分ではない可能性があります。

MicroStrategy環境におけるマシンのメモリのチューニングの詳細については、セクションを参照してください。システムリソースの管理System Administration Help

ネットワーク帯域幅を増やすとどのようなメリットがありますか?

ネットワークのキャパシティがどれくらい使用されているかをモニターすることにより、ネットワークがシステム パフォーマンスに悪影響を与えているかどうかが分かります。Windowsマシンでこれを監視するには、オブジェクトのWindowsパフォーマンスモニターを使用します。ネットワークインターフェース、そしてカウンターを見る合計バイト数/秒ネットワーク帯域幅のパーセンテージとして。たとえば、これが常に 60% を超えている場合は、ネットワークがシステム パフォーマンスに悪影響を及ぼしている可能性があります。

非常に大きい結果セットの場合、ネットワーク帯域幅を増やすと、ネットワークの混雑によるボトルネックが減少します。その結果、データ フローが大きくなり、クエリの応答時間が速くなります。

MicroStrategy環境のネットワークのチューニングの詳細については、次のセクションを参照してください。ネットワークがパフォーマンスに与える影響System Administration Help

1 人のユーザーが完全に利用できる CPU 数はいくつですか。

サーバーで使用可能な CPU 数にかかわらず、1 人のユーザーが完全に利用できる CPU 数は 1 個です。マルチプロセッサー サーバーでは、負荷は複数の CPU に分割されます。

ライセンスがCPUの使用率にどのような影響を与えるかの詳細については、System Administration Help

デュアル プロセッサーのハイパースレッディングを使用するメリットは何ですか。

デュアル プロセッサーでハイパースレッディングを使用するメリットは、全体的な CPU 使用率が減少することです。多数のユーザーがいる場合には、ハイパースレッディングの使用をお勧めします。

デュアル プロセッサーのハイパースレッディングを使用するデメリットは何ですか。

ハイパースレッディングを使用するデメリットは、Intelligence Server の実行時間が少し増加することです。したがって、処理を速くするためには、ハイパースレッディングの使用はお勧めしません。

Intelligence Server に保存できるインテリジェント キューブの最大サイズはどのくらいですか。

レポートがインテリジェント キューブのデータにアクセスするには、インテリジェント キューブが Intelligence Server メモリに保存されている必要があります。これによってこれらのレポートのパフォーマンスが改善しますが、Intelligence Server メモリにロードするデータの量が多すぎると、Intelligence Server のジョブ処理能力が低下する可能性があります。そのため、Intelligence Server に保存できるインテリジェント キューブ データの量を制御することが重要です。

インテリジェントキューブのメモリ使用量、読み込み、および保存の管理については、System Administration Help